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海運雑学ゼミナール
094 「リバプールの敷き瓦」と呼ばれた船乗りの主食、ビスケット
 長期の保存に耐える船乗りの主食としてビスケットが登場したのは中世初期の頃といわれる。語源は、ラテン語のbis coctus(2回焼く)にあり、長持ちさせるために2度焼き上げてつくられたことに由来するが、保存性とおいしさの両立は難しかったようで、当時の英国の船員たちは、そのとてつもない堅さから「リバプールの敷き瓦」と呼んでいた。
 しかし問題は、堅さだけではなかった。当時のビスケットも、現在と同様、片側の表面に小さな穴がいくつも空いていたが、この穴にコクゾウムシが住みついてしまうのである。そこで、この穴の空いた方を下にして叩いて、コクゾウムシを外に追いだすのが、当時の新米船員たちの仕事の一つでもあった。
 当時の船乗りの食事といえば、このビスケットと塩づけの豚肉くらい。食生活だけみても、まさに命がけの航海だったといえよう。
 壊血病の原因となるビタミンC不足を解消するためにライムや塩づけ野菜を積み込むようになったのは、18世紀末、キャプテン・クックが活躍する時代に至ってからのことである。
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