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海運雑学ゼミナール
102 パイロットは安全運航を支える特定水域の超エキスパート
 世界には、さまざまな港があり、海峡があり、運河がある。そのそれぞれについて、どこに浅瀬があり、暗礁があり、潮流がどうなっているかといった事情を熟知することは、どんなベテランの船長といえども不可能だ。このため、特定の港や海域では、その場所についての十分な知識を持ち、かつ優れた操船技術をもつ者が乗船し、船長の委任をうけて操船をするほうが安全で、能率も高い。こうした仕事に従事するのがパイロット(水先人)だ。
 パイロットには、港の出入りや離着岸を行うハーバー・パイロット、河川の航行を行うリバー・パイロット、運河での航行を行うキャナル・パイロットなど多くの種類がある。わが国では、主要港や水域を39の水先区に分け、各水先区ごとにその港域や水域を専門とするパイロットが活動している。
 このうち東京湾区、関門区、備讃瀬戸区などの港域や水域は、一定の大きさ以上の船舶はパイロットを乗船させなければ航行することができない強制水先区となっている。
 船長に代わって操船指揮を委任される以上、パイロットには、極めて高度な技術や知識が要求される。このため、パイロットの資格は水先法によって厳しく定められている。
 まず船長として総トン数3,000トン以上の船舶に3年以上乗船した経験が必要だ。次に一般的法規や操船技術に関する国家試験(1次)に合格した後、一定期間パイロットになろうとする水先区で実習。さらにその水先区に関する具体的な知識を問う2次試験に合格しなければならない。  つまり船長と同等以上の経験知識に加え、各水先区特有の条件についての専門的な知識を有するものだけが、パイロットの業務に従事できるのだ。船長といえば船舶運航のエキスパート。パイロットは、そのエキスパートの仕事を船長の監督のもとに代行することができる特定水域の超エキスパートというわけである。
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