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海運雑学ゼミナール
107 少ない数で広範囲をカバー、光を出さない電波の灯台
 灯台の歴史は古い。紀元前280年頃、エジプトのナイル川の河口に塔を建て、その上で火をたいて船の道しるべにしたのが世界で最初の灯台だといわれている。日本でも、1200〜1300年ほど前、遣隋使船や遣唐使船の中国からの帰途にあたる九州地方の沿岸に「のろし台」が造られていたが、これが日本での灯台の始まりといえよう。
 日本最初の近代的灯台は1869年に建てられた観音崎灯台だが、それ以前にも灯明台(とうみょうだい)と呼ばれる火をたいて目印とする「日本式灯台」が、各地の港に造られていた。また水面に竹や棒を立て船に通り道を教える「みおじるし」も、さかんに用いられており、これは現在の大阪市の市章にもなっている。
 灯台は、正式には航路標識と呼ばれ、光を出すもの、音を出すもの、電波を発射するものと大きく3種類に分けられる。現在、日本には約5,500基の灯台があり、数の上では光を出すタイプが最も多いが、少ない数で広い範囲をカバーする「電波の灯台」ともいうべき電波標識がある。
 デッカや、ロランCなどがその代表であるが、かつては、精度は若干低いものの、地球上のわずか8ヶ所に配置された局によって全世界をカバーしてしまうオメガと呼ばれる電波標識があった。長崎県の対馬にそのうちの一つが設置され、東京タワーをはるかに上回る455メートルの高さのアンテナから電波を発射してきたが、衛星を利用したGPSの普及に伴って1997年に22年間の使命を終え、1999年に撤去されてしまった。。
 急速に進むテクノロジーの進歩の中で、岬の先端に立つ白い灯台といったロマンチックなイメージは、次第に変わりつつあるようだ。
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