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海運雑学ゼミナール
112 船の塗料移り変わり
 船舶塗装の最初の記録はノアの方舟だといわれる。その後の船の歴史の中でも、防水や防腐の目的でさまざまな塗料が使われてきたが、15世紀から19世紀までの帆船時代の塗料の主役はタールやピッチで、江戸時代末期に日本を訪れた黒船が黒かったのは、これらの塗料によるものだった。
 その後、鉄船時代から鋼船時代初期にかけては主にコールタールが使われ、オイルショック以降は、省エネ対応策の中で自己研磨型塗料が登場した。  この塗料は、海中に防汚成分が溶けだして海中の動植物が付着することを防止するとともに、海水との摩擦によって表面が磨かれ(自己研磨)、常に平滑な表面を維持することができるため、抵抗の増加は非常に小さく抑えられ、燃料節減効果が極めて大きかった。
 しかしながら、これらの塗料には有機スズが含まれ、海洋産物への悪影響が懸念されたため、日本は1990年から世界に先がけて有機スズを含む塗料の使用を禁止。現在では、さまざまな環境対応型の塗料が開発されている。
 さて、巨大な外航貨物船の船舶塗装には、どのくらいの量の塗料が使用されるかというと、新造時に造船所で使用される量は、30万重量トンクラスのタンカー(VLCC)で、なんと約300トン。3万重量トンのコンテナ船でも、約200トンになる。
 昔から船の塗装は、女性のお化粧に例えられるほどコストのかかるものだったが、単なる美貌の維持だけではない塗装の重要な役割を考えれば、それも納得がいく。
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