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海運雑学ゼミナール
113 毎分数メートルの速度を正確に測るドップラー・スピードログ
30万重量トンクラスのVLCC(超大型タンカー)ともなると全長は300メートルを超え、東京タワーの高さにも匹敵する。こうした大型船の操船でいちばん難しいのが着岸時だ。
 例えばこのクラスのタンカーで、岸壁と船体の間の角度がわずか5度開いていても、船首と船尾では、岸壁からの距離で約25メートルもの差が出る。また接岸時の巨大な衝撃を避けるため、着岸速度も毎分1.8〜3メートル以下に制限され、こうした低速状態では本船側の舵やスクリュープロペラはまったく効果がなくなる。このため、接岸作業はすべてタグボートの動力によって行われるが、タグボートの動きをブリッジから正しくコントロールするには本船の正確な速度や移動方向を知ることが必要だ。
 そこで活躍するのが、ドップラー・スピードログ。ドップラー効果(救急車のサイレン音が、すれ違ったとたんに音程が変わる現象)を応用したもので、海底に超音波をあて、遠ざかる音と近づく音との波長のズレを検出して速度を求める装置だ。
 これを使えば、風や潮流による速度の変化も含む完全な対地速度が測れ、しかも前後2ヶ所で測定するため、船体の移動方向もわかる。
 最近のVLCCや大型のコンテナ船などには必ず備えられているこの装置、GPS(衛星を利用した全世界的な測位システム)やARPA(衝突予防装置)と並んで、船の安全を支える重要なハイテク装置の一つになっている。
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