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海運雑学ゼミナール
117 マラッカ海峡:日本の輸入原油の80%が通るタンカー銀座
 マレー半島とスマトラ島の間にあるマラッカ海峡は、中東や欧州と東アジアの国々を結ぶ海上交通の要衝だ。長さ1,200キロの航路のうち、シンガポール寄りの約500キロは浅瀬が多く、VLCC(30万重量トンクラスの大型タンカー)など大型船舶が通航できる水路は限られ、幅がわずか2キロというところもある。
 この狭い水路を、1日何十隻ものタンカーが行き交う。文字どおりのタンカー銀座であると同時に、航行する船にとっては、世界有数の難所でもある。
 ここでは、潮流の影響でわずかに航路を外れても、浅瀬に座礁してしまう危険があるため、操船はすべて手動だ。レーダーはフル稼働で、激しく往来する周囲の船舶の動きを見張る。航路標識や接近する小型船を見逃さないよう航海士は双眼鏡を離さない。船底と海底の距離は、浅いところでは3.5メートル。このため船位や水深の確認も頻繁に行われる。VLCCなどでは、日中の高潮時に航行するのが原則だ。
 近年は、事故防止のため、さまざまな海上交通ルールが確立され、航路標識設置や水路調査など日本と沿岸国の国際協力による航路整備も進められている。しかし最終的な安全確保は、やはり船長はじめとする乗組員の腕にかかってくる。
 危険は、さらにもう1つある。小型の高速艇で出没する海賊だ。知らない間に船に乗りこんできて、銃などで脅され金品を巻き上げられる事件も後を絶たない。
 マラッカ海峡は、日本のオイルロードの要。わが国の輸入原油の約80%がこの海峡を通る。高度な操船技術と細心の注意で運ばれる貴重な原油、くれぐれも大切に使いたいものだ。
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