日本船主協会

トップページ海運雑学ゼミナール

海運雑学ゼミナール
121 海を越えブラジルへ渡った世界最大のプラントバージ
 プラントを輸送する場合、普通は全体をいくつかのパートに分け、重量物船やモジュール船を使って運ぶ。ところが、プラントそのものを、丸ごと船にして外国に運んでしまったというウソのような本当の話がある。
 これは、かつて日本の大手造船会社が受注して成功をおさめたプロジェクトで、紙パルプの製造プラント一式を、巨大な2隻のバージとして組み立て、日本から海を越えてブラジルまで曳航して、アマゾン川支流のジャリ川の岸にそのまま据え付けてしまうというビッグプロジェクト。
 ジャリ川一帯は、紙パルプ製造に最適な熱帯樹の産地だが、そこに至るための道路や電力、燃料、水道などのインフラストラクチャーは皆無といった密林地帯で、ここに工場を建設するとなると、コストも期間も想像を絶するものになる。そこで出てきたのがこのアイデアだった。
 日本の造船所で組み立てられた世界最大規模の2隻のバージは、地球3分の1周に達する全行程2万5,000キロメートルの航路を、やはり世界最大の外洋曳船(主機2万馬力)2隻によってブラジルまで曳航された。そしてアマゾン川の水位が増す雨期をねらって目的地に運び込まれ、特殊な工法によって、無事、河岸に固定された。
 貨物であるプラントをそのまま船にしてしまうというこの発想、現地の森林所有者でもあった米国の実業家が思いついたものだが、プラント建設技術、造船技術、輸送技術をみごとに一体化した、大胆だが、実に合理的なアイデアだったといえよう。
前のページへ海運雑学ゼミナールタイトル一覧へ次のページへ