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海運雑学ゼミナール
124 海洋発電は、未来の無公害エネルギー
 地球表面積の70.8%を占める海は、じつは巨大なエネルギー源でもある。そこで、波や潮汐、海洋の表面と深海の温度差など、海が本来もつ潜在的なエネルギーを活用しようと、世界各国で海洋発電の研究が進められている。
 海洋エネルギーによる発電システムで、もっとも簡単なのが波力発電だ。これは波による海面の上下動を利用したもので、原理はいたって単純。底面が開いた箱状の構造物を海上に設置し、その内部に空気ピストン装置を設ける。波の力でピストンが上に押し上げられると、内部の空気が圧縮されて上部の通気口から吹きだし、その力でタービンの羽根を回し発電するというもの。この分野の研究では日本が進んでおり、すでに標識ブイなどで実用化されているほか、より大規模な空気タービン式発電船による実験が進められている。
 潮の干満を利用した潮汐発電も重要なテーマだ。これは湾や河口に巨大なダムを作り、満潮時には貯水池に流れ込む海水の力でタービンを回し、逆に干潮時には貯水池の海水を海へ放流してタービンを回すもの。潮の干満の差が大きくないと難しいが、すでにフランスでは、最大出力24万キロワットの発電所が実用化されている。
 海洋温度差発電も、有望な技術だ。海洋の表面と深海では大きな温度差がある。そこでアンモニアなどの常温常圧で気体となる媒体を、深海で冷却・圧縮し、これを海表面の高温の海水で気化させ、その蒸気でタービンを回す。気化した媒体は再び深海へ戻され液化されるというサイクルだ。まだ研究段階だが、21世紀には実用化が期待されている。
 こうした技術を生かせば、やがて大洋のあちこちにつくられた発電ステーションで電力の供給を受け、電気の力で航海する究極の無公害エネルギー船が出現するかもしれない。
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