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海運雑学ゼミナール
126 船乗りたちの証言によって生まれたギルバートの「地球磁石説」
 航海に使われる羅針盤の原理は、古代の中国ですでに発見されていたが、なぜ磁石の針が南北を指すかという理由は、長い間解明されなかった。
 16世紀ごろには、北極星が磁針を引き付けるという説が登場したが、もしそうなら、北極近くでは磁石の北側が上に持ち上り、南側が下に下がるはず。ところが事実は逆だった。
 この事実に興味をもち、1600年に、地球そのものが磁石であるとする「地球磁石説」を打ち立てたのが英国の医師ギルバート。
 この説を発表するために、ギルバートは、さまざまな実験や調査を行ったが、そのなかでも大きな助けとなったのが船乗りたちの証言だった。
 羅針盤の針が、世界のどの場所でどういう下がり方をしたか―という彼らの経験に基づく証言を随所に活用して書き上げられた全6巻の「磁石について」という大論文は、その後のケプラーの研究にも大きな影響を与え、現代の地磁気研究の基礎となった。
 羅針盤を使い、世界の海を股にかけて活躍する海の男たちの経験は、当時としてはじつに貴重な、まさに地球規模の一大実験報告だったわけである。
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