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海運雑学ゼミナール
131 綱取り放し作業は、大型船の入出港に欠かせない縁の下の力持ち
 大型の貨物船や客船の入出港時には、パイロットやタグボートなど、さまざまなサポート業務が必要となる。
 船の接岸時や離岸時に、係留用のロープを岸壁のビット(係留用の鉄の杭)やドルフィン(海上に打ち込まれた杭状の係留施設)やブイにかけたり、そこから放したりする仕事もそうしたサポート業務のひとつ。これが綱取り放し作業で、この作業に携わる人はラインマンと呼ばれる。
 船が離岸してそのまま出港できるのも、入港してそのまま接岸できるのも、じつは、このラインマンたちの仕事のおかげだ。
 もし、この作業を入出港する船が自力で行おうとすると、接岸時には、何名かの船員が、ボートであらかじめ岸壁やドルフィンに渡り待機しなければならないし、離岸時には逆に、陸側に残ってロープを解いた後、ボートで本船に帰らなければならないことになる。しかし、これではあまりに効率が悪い。そこで登場したのが、この綱取り放し業というわけだ。
 船の接岸と同時に投げおろされるロープを受け取って、係留施設にすばやく確実につなぎ、離岸時はタイミングよくロープを解き放す仕事は、簡単そうだが実はたいへん熟練を要する仕事だ。海上でボートを使って行うブイやドルフィンへの係留には相応の技術を要するし、寒い地域での冬場の作業は足場が凍りやすく危険もともなう。
 停泊中の船にとって、岸壁などに船体をしっかりと固定し、漂流や岸壁への激突を防いでくれる係船ロープは、まさに命綱。船の入出港に関係する仕事のなかでは、最も地味だが、なくてはならないきわめて重要な仕事といえよう。
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