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海運雑学ゼミナール
134 幻の王、プレスター・ジョンを探して
 黄金の国「ジパング(日本)」は、コロンブスを始めとする大航海時代の冒険家たちが目指した究極の目標の一つだが、それに劣らず、彼らが血眼になって探したもう一つの国があった。「プレスター・ジョンの王国」がそれである。
 プレスター・ジョンは、最初はアジア、のちにはアフリカのエチオピア付近に住むとされた伝説上のキリスト教徒の名君。当時の欧州のカトリック教徒は、このプレスター・ジョンと手を組み、中東から地中海にかけて勢力を広げていたイスラム教徒をはさみ討ちにして、アジアにおける覇権を手に入れようとしていた。
 ポルトガルの航海王子エンリケの命でアフリカを周航、希望峰を発見したバーソロミュー・ディアスや、その航路をさらに延ばしてインドに達したバスコ・ダ・ガマの航海にしても、香料や黄金、奴隷の貿易に劣らない大きな目的の一つが、このプレスター・ジョンの王国探しだったといわれている。
 その幻の王国はついに見つからなかったが、そうした大航海を通じて、ポルトガルやスペインなど欧州の列強は、世界の海の覇権を手にすることになる。
 コロンブスにとってのジパングにせよ、ディアスやガマにとってのプレスター・ジョンの王国にせよ、歴史を変えた大発見が、こうした誤った情報に導かれての結果だったことをみれば、かの大航海時代とは、地球規模の壮大な「結果オーライ」時代だったという、ちょっと皮肉な見方もできよう。
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