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海運雑学ゼミナール
146 航海日誌に書かれたコロンブスのウソ
 アジアへの西回り航路の存在を信じ、大西洋をひたすら西に向かったコロンブスの第一次航海では、未知の航海に不安を感じた水夫たちが何度も反乱を起こしかけた。乗組員はできるだけ早く故国に帰りたがっており、コロンブスは、まだ船が帰るのが困難なほど遠くまで航海していないと納得させておく必要があった。
 そこでコロンブスは、いささかずるいやり方をした。乗組員が遠くに来すぎたと思って失望しないように、航海日誌に、自分が計算した距離よりもはるかに控え目な距離を記入したのだ。
 ところがコロンブスには、つい欲張って航海距離を多めに計算してしまう癖があり、皮肉なことに、コロンブスが航海日誌に書き込んだ「ウソ」の距離の方が、コロンブスの計算による「本当」の距離よりも実際には正しかった。  しかし彼はこの航海で、アメリカ大陸の発見以外にも二つの重要な発見をしている。それは北東貿易風に乗り西に向かう航路と偏西風に乗って東に向かう航路の2つの大西洋横断航路の発見だった。
 現在では想像しにくいが、風だけが頼りの当時の航海者にとって、これはまさに大発見だった。距離の計算に関してはやや甘いところのあったコロンブスだが、彼は当時としては比類のない風の専門家だったのである。
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