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海運雑学ゼミナール
147 水中翼船:水中翼船の見掛けによらない高い復元性
 水中翼船は、船底下部に飛行機の翼に似た水中翼をもつ船で、スピードが増すと、水流でこの水中翼に揚力が生れ、船体全体が水面上に浮かび上がる。このため、船の前進を妨げる造波抵抗と摩擦抵抗は船体と水中翼や舵や推進器をつなぐ支柱によるものだけになり、普通の船の2倍以上の高速で走ることが可能になる。
 ところで大きな船体を細い支柱のみで空中に支え、高速で航行する水中翼船をみると、いかにも安定性が悪そうにみえるが、じつは復元性が一般の船よりも高いのが特徴の一つ。その理由はこうだ。
 船が走行中に横波や横風によって傾斜した場合、片舷の翼の一部が水面に出て揚力が減る一方で、もう片方の翼が水面下により多く沈み、揚力が増える。こうして両方の翼の揚力がバランスして船体の傾斜は自然にもとに戻ることになる。
 もう一つの特徴は高速航行中でもブレーキがかけやすい点だ。これはスピードが落ちると水中翼に対する揚力も減り、船体底部が水面に接するため急激に造波抵抗と摩擦抵抗が増大。この抵抗によって大きなブレーキ効果が生まれるわけだ。
 構造的に、大型の貨物船には向かないが、その高速性と安定性は旅客輸送には最適で、最近は国内の離島航路や釜山、済州島などと日本の間を結ぶ航路で活躍する姿が目立つようになってきている。
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