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海運雑学ゼミナール
148 人類と船の出会いは水に浮かんだ一本の流木から?
 船は人類が最初に作った乗物だが、その起源となるとさだかではない。遺物を追っていけば紀元前8000年程度までは遡れるが、それ以前のこととなると、もはや考古学的想像の次元で考えるしかなくなる。学者たちのイマジネーションによれば、人類と船の出会いはこんなもののようだ。
 有史以前の狩猟時代、男たちは集落を遠く離れ、幾日も獲物を追って旅を続けた。川や湖は、そんな原始時代の狩人たちが喉の渇きをいやしに立ち寄る安息の場所だった。
 そんな時、水辺で休んでいる彼らの前を1本の流木が漂っていく。彼らの一人がこの流木に乗ってみようと考えたとしても不思議ではない。もちろん水に浮かぶ丸太に乗るのは容易ではなく、最初はただしがみつくだけだったろう。しかし緩やかな流れの中を漂う流木は、確かに彼をある地点から別の地点へ楽々と移動させてくれたのである。
 こうした太古の人々の体験が、丸木舟や筏のような原始の舟に結びつくには、なお数千年の時間を要しただろう。船と人間の出会いは、羅針盤や火薬の発明のようなドラマチックな出来事ではなかったが、そこから始まった現代の巨大タンカーや豪華客船に至る船の発展の歴史は、有史以前から現代まで連綿と続いた人類の知恵の見事な集積ということができる。
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