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海運雑学ゼミナール
149 100年以上前にマンガン団塊を発見した海洋調査船
「チャレンジャー号」
 深海底に眠る謎の鉱物資源として、最近とみに注目を集めるようになったマンガン団塊。世界中の海の底に無尽蔵といっていいほど転がっているこの黒い団子のような塊には、多量のマンガンと鉄、さらにニッケル、コバルト、銅などの金属が含まれており、その採取法や権利をめぐって科学者や国家や企業がしのぎを削っている。
 ところでこのマンガン団塊、じつはもう100年以上も前に発見されていた。これを最初に深海から引き上げたのは、調査船チャレンジャー号で世界の海の調査を行ったトムソンをはじめとするイギリスの科学者たちだ。
 1872年から1876年にかけて、英国の機帆船チャレンジャー号は、さまざまな科学調査を行なうために世界一周の探検航海に出発した。
 チャレンジャー号は世界中の海域で海底の石や泥を採取したが、あるときドレッジ(採泥器)を引き上げてみると、なかに数十個の黒褐色のもろい石のような塊が入っていた。本国に帰ってこの小さな塊を分析してみると、そこには極めて多量のマンガンや鉄などが含まれていることがわかった。
 しかしこの発見を重要視する者は当時ほとんどいなかった。マンガンの鉱物資源としての重要度が現在のように高くはなかったため、わざわざ深海の底から引き上げて商売にしようとは誰も考えなかったのだ。
 チャレンジャー号の航海は、本格的な海洋調査としては世界初の試みで、宇宙塵の発見から未知の海洋生物の採取まで数々の輝かしい成果をおさめたが、マンガン団塊の発見はそのなかでももっとも目立たない発見の一つ。それが、21世紀も間近な今日にいたって、ようやく陽の目をみたわけである。
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