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海運雑学ゼミナール
150 日本の造船業を世界一にした革新技術-溶接ブロック建造法
 溶接ブロック建造法は、戦後の日本造船業の飛躍的な発展を支えた重要な革新技術だ。船体をいくつものブロックに分け、それぞれのブロックを工場内で組立て、大型のクレーンで船台上に運んで接合し一隻の船を完成するこの工法は、従来の方法に比べ、工数を大幅に削減し工期を短縮する上で大きな役割を果たした。
 名前の示すとおりこの建造法は、戦後の造船業界で急速に普及し始めた溶接技術と強い関連を持って生れたものだ。従来のリベット打ちに比べ、作業の効率化や鋼材使用量の削減といった大きなメリットをもつ溶接工法にも弱点はあった。その一つが、下向きの作業と比べ上向きの作業の効率が著しく悪くなる点だった。
 船台の上ですべてを組立てる従来の方法では、船が大きくなればそれだけ上に向かっての作業が増える。そうなれば高い足場を増やさざるをえず、作業の準備にも時間がかかる。しかしブロック建造法なら、この弱点を克服することができた。工場内で作業するため、ブロックの向きを必要に応じて変えることで下向きの溶接作業を増やすことができたのだ。
 その他のメリットも大きかった。ほとんどの作業が屋根のある工場内で行われるため、天候による工期の遅れを最小限にすることができた。また船台がふさがっている状態でも、次につくられる船のためのブロックを組立てておくことができた。
 こうして早く、安く、しかも高性能の船を世界に送り出した日本の造船業は、1956年には世界のトップシェアを確立。その後も、コンピュータ設計をはじめとする最新技術の導入に力を注ぎ、1999年まで世界一位の座を保ちつづけてきた。そして、現在でも韓国との首位争いを続けている。
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