日本船主協会

トップページ海運雑学ゼミナール

海運雑学ゼミナール
151 船体外板の縦のラインは「ここを押してね」というマーク
 貨物船など大きな船体外板をみると、船首付近と船尾付近に縦に並んだ数本のラインが描かれている。これはプッシュラインと呼ばれるもので、タグボートに船体を押してもらうとき、この位置を押すようにという意味のマークだ。
 鋼鉄のかたまりのように見える現代の鋼船の外板はじつは意外なほど薄く、長さが300mもある貨物船でも3cm程度。もし船体をアルミのビール缶程度に圧縮したとすると、外板の厚みは缶をつくっているアルミ板よりもはるかに薄い。
 現代の大型船はこのように薄い鋼板とさまざまな補強材を組み合わせたパネル構造の部材を連続的に組み立て、じつに軽くしなやかに作られている。いわゆる柔構造と呼ばれるつくりで、航行している状態でも、海面のうねりや積荷の状態に合わせて柔軟にたわむことで、全体として高い強度を維持している。
 しかし逆に特定の位置に集中する力には弱い面があり、ところかまわず押せば外板がへこんでしまう場合もある。このプッシュラインの描かれた位置は内側に頑丈なフレームが通っている場所で、ここならタグボートが力いっぱい押しても安心なのである。
前のページへ海運雑学ゼミナールタイトル一覧へ次のページへ