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海運雑学ゼミナール
157 バスコ・ダ・ガマより早かったフェニキア人のアフリカ周航
 紀元前13世紀頃に歴史の舞台に登場したフェニキア人は、優れた海洋民族で、そのめざましい海上貿易活動によってわずか数世紀の間に地中海を制覇。その活動範囲はアラビア、ペルシャ、インドからアフリカ東岸、さらにジブラルタル海峡を越えイギリスやアフリカ西岸にまでおよんだ。
 そのフェニキア人が、バスコ・ダ・ガマのアフリカ大陸周航(1498年)のはるか以前、紀元前7世紀にすでにアフリカ大陸を一周していたという説が、近年、歴史学上の定説となりつつある。
 この偉業を成し遂げたのは、エジプト王ネコの命で紅海から出発したフェニキア人の船団だった。彼らはアフリカ大陸にそって時計廻りに航海を続け、秋になると到達地点の沿岸部に上陸、そこで小麦の種を蒔き、収穫を待って再び出帆するということを繰り返し、3年目にジブラルタル海峡から地中海に入り、エジプトに帰還したらしい。
 この大航海に関する記録は、古代ギリシャの歴史家ヘロドトスの「歴史」巻4にあらわれるものが唯一で、真偽については多くの議論が戦わされてきたが、現在では海流や季節風の状態からみて、その可能性は十分あったと考えられている。
 もしそうだとすれば、ディアスやガマが苦難の航海の末に発見(?)した大西洋とインド洋を結ぶアフリカ回りの航路も、2000年以上前のフェニキア人やエジプト人にとってはすでに常識だったことになる。歴史というものは、ときに後戻りしてしまうこともあるようだ。
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