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海運雑学ゼミナール
158 船内名物「海水風呂」も造水器の普及で過去の遺物に
 1970年代まで、船上生活では清水(真水)はまさに貴重品で、飲料水や調理用の水以外はすべて海水が使われていた。しかし最近では海水から清水をつくリだす造水器の普及でそんな船内の水事情も様変りをみせている。
 最近のほとんどの船舶が装備するようになった造水器は、真空状態にした容器の中に海水を入れ、その海水を主機に使用した高温の冷却清水で加熱沸騰させ、その蒸気を冷却して清水を造るもので、大型の貨物船なら1日数十トンの清水を得ることができる。
 しかし造水器による清水は蒸留水のため、飲んでもまずく調理にも適さないといわれている。そこで飲料水や調理用には従来通り陸上から補給された水を使い、造水器の水は主に風呂やシャワー、水洗トイレなどにふんだんに使われる。もし飲み水として使う必要がある場合は、必要なミネラル類を添加し味を整えて使用する。
 このように風呂やトイレに使うだけなら海水でも十分なように思えるが、清水を使用するメリットは大きい。海水だと配管が腐蝕したり貝や海藻の付着で管が詰まったりして補修に手間やコストがかかる。清水ならその心配がないからだ。
 おかげでかつて船上生活の名物だった「海水風呂」も最近は見かけなくなった。しかし蒸留水の風呂は石鹸がすっきり流せないという欠点があり、海水や塩を少し混ぜて使用するのがコツだといわれる。海水風呂の方が温泉のように体が暖まってよかったと懐かしむ声もあるようだ。
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