日本船主協会

トップページ海運雑学ゼミナール

海運雑学ゼミナール
160 船は海上の気象観測所
 地球表面の70%を占める海は、世界の気象現象にも大きな影響を及ぼす。しかしその一方で、海洋での気象データは極めて少なく、気象観測上の一種の盲点となっている。これを補うのが、航行中の船舶による気象観測データの収集だ。
 これは国連の専門機関であるWMO(世界気象機関)が奨励し、同じく国連機関であるIMO(国際海事機関)のSOLAS条約(海上における人命の安全のための条約)にも規範として定められているもの。その背景には、各国の気象機関が外洋を航行する船舶のために気象情報を提供する代わりに、船舶は観測の難しい海洋上での気象情報収集に協力する、という考え方がある。
 そのための通報方式も国際的に統一されており、風向、気圧、気温、水温、うねりの高さ、雲の種類と高低などの観測結果はすべて数字のコードに翻訳され、日本から西経160度までなら日本に、それ以東なら米国に送られ、WMOの国際気象通信網を通じて世界中に配信される。これをもとに世界の気象機関が天気図などの気象データを作成し、それが再び、航行中の船舶にフィードバックされる仕組みだ。
 コンピュータを始めとする先端装置を備えた現代の船も、台風や濃霧のような気象現象には勝てない。同様にスーパーコンピュータを駆使した現代の気象予測技術も、広大な海洋上での気象データの収集なしには意味をなさない。
 こうした両者のギブ・アンド・テイクがもたらす恩恵は、船舶の安全航行はもとより、陸に住む私たちの生活にとっても極めて大きいといえる。
前のページへ海運雑学ゼミナールタイトル一覧へ次のページへ