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海運雑学ゼミナール
165 舶用ディーゼル機関は低速回転が有利
 現代の舶用エンジンの主力となっているディーゼル機関には、回転数によって中速ディーゼル、低速ディーゼルの2種類がある。
 中速ディーゼルは、回転数が毎分300〜1,000回転までのディーゼル機関で、低速ディーゼルは毎分300回転以下のものをさす。いずれにしても毎分数千回転する自動車用のエンジンなどと比べ、きわめて低速な点が特徴で、これは推進装置であるスクリュープロペラの性質と関係がある。
 回転数と推進効率の関係は、スクリュープロペラの形状や大きさにもよるが、一般に低速で高馬力の方が推進効率が高まる。また水中で回転するプロペラは、あまり回転数を上げるとキャビテーション(空洞現象)という空回り現象を起こし、翼表面に真空状態が生まれ推進効率が低下するばかりかプロペラ自体の損傷にもつながる。
 このため船舶の主機として使われるディーゼル機関の回転数は一般に毎分100回転前後で、それ以上の場合は、減速ギアによって回転数を落とす。このようなディーゼル機関は「ギヤードディーゼル機関」と呼ばれ、ギアの組み合わせでもっとも推進効率のよい回転数にコントロールできるというメリットがある。
 またギヤードディーゼル機関の一種で、回転軸につながる歯車を2台以上の機関で同時に回す「マルチプルエンジン」と呼ばれる方式では、一つの回転軸で10万馬力以上という蒸気タービン並みの出力を得ることも可能だ。
 当初、経済性に優れている反面、馬力の点で蒸気タービンに劣るとされたディーゼル機関も、その後の性能向上で弱点を克服。現在は、超大型タンカーや高速コンテナ船をはじめ、ほとんどの船の主機として使われるようになった
。  このように経済性と高性能を両立させた舶用ディーゼル機関の登場は、蒸気機関や蒸気タービンの出現ほど派手ではないものの、その普及度の大きさからみれば、船の動力の歴史における重要な技術革新の一つということができよう。
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