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海運雑学ゼミナール
166 地球の表面をオレンジの皮に見立てたメルカトル
 球形の地球表面を平面の地図に表す技法はいくつかあるが、中でも代表的なものが、16世紀の地図製作者、ゲラルドゥス・メルカトルの考案による「メルカトル図法」だ。メルカトル以前には、地球が球形だということを考慮してつくった地図はなく、航海者たちは地図上に特定の方位に向かう進路を直線で描くことができなかった。
 球形の地球では、経線の両端は両極の二点に集中している。進路を直線で描くには、これを平面に移し替える必要がある。メルカトルは、まず経線をオレンジの皮に入れた刻み目に見立て、それを細くむいて順番に紙の上に並べてみた。
 さらにこれらを伸縮自在のものとみなし、細くなっている各断片の先端を横に引き伸ばして矩形とし、各断片が端から端まで密着するようにした。こうして地球をおおう一枚の「皮」は、陸地や海洋の模様を再現しながら一つの大きな矩形となり、経線は北極から南極まで平行に表現された。
 この方法によれば、高緯度になるに従って地表面積は広くなるものの、全世界を示す球面が緯度と経度の方眼のはいった四角い地図として容易に描ける。航海者がこうして描かれた海図上に一定の進路(方位)を示す直線を引けば、その線はすべての経線と同じ角度で交差し、どの方位に向かう進路も一本の直線によって表せる。
 このメルカトル図法がその後の航海者たちに与えた恩恵は大きく、現在も、遠洋航海に使われる海図のほとんどが、この図法を採用している。
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