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海運雑学ゼミナール
178 帆船時代とは違ってきた現代の船のマストの役割
 風をはらんだ何枚もの帆をかかげ、船上に高くそそり立つ帆船のマストは、かつては船の推進力を得る重要な役割を持つとともに船の優美さの象徴でもあった。しかし船の主機として蒸気タービンやディーゼル機関が登場して以来、こうしたマスト本来の役割はなくなった。
 ところが現代の貨物船や客船にも、やはりマストは存在する。もちろん合理性を追求する現代の船が、わざわざ「無用の長物」を残すわけはなく、そこには十分な存在理由がある。
 現代の商船で一般に見られるのは、船首近くに立てられたフォアマストとブリッジ最上段の羅針儀甲板(コンパスブリッジ)に立てられたレーダーマスト。フォアマストは、現在では主に夜間の荷役作業の照明用や信号用の灯火などを取り付ける支柱として使われている。
 一方、かつてのメインマストに相当するのがレーダーマストで、本来はレーダーアンテナを取り付けるマストだったが、現在では、社旗、信号灯、無線用アンテナ、海事衛星用パラボラアンテナなどが集中して取り付けられ、船がやり取りするほとんどの信号や情報の出入り口としての重要な役割を果たしている。
 フォアマストの高さは船の大きさに関係なく甲板から12〜13m。これに対しレーダーマストはブリッジの最上段からさらに10m程度の高さを持っており、船の中で最も高い。当然、目立つ部分でもあるため、最近の客船では船体と一体化した美しいデザインを施すものも多く、ファンネル(化粧煙突)と並ぶ船のシンボルマーク的な意味も与えられているようだ。
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