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海運雑学ゼミナール
183 大航海時代の幕開けに活躍したポルトガルの秘密兵器─カラベル船
 古代から中世にかけ地中海で活動した商船の代表的な帆装は、ラティーンセールと呼ばれる三角帆だった。風上方向に進めるという特長を持つこの帆は、風向きが変わりやすい地中海では大変有利だった。しかし風向きが一定した長距離航海には、横帆を持つ北欧型のコッグ船が適していた。この両者の長所を生かし15世紀頃に生まれたのがカラック船だ。
 典型的なカラック船は、メインマスト(中央)に2枚の横帆、フォアマスト(前方)に1枚の横帆、ミズンマスト(後方)に三角帆を持つ。この帆装で安定した航海性能と優れた操縦性能を発揮したカラック船は、その後に登場したさまざまな帆船の原型となった。
 しかし大航海時代の幕開けとなったディアスやガマ、コロンブスの航海に使われたのは、カラベル船と呼ばれる別のタイプの船だった。
 ポルトガルで造られたカラベル船は、エンリケ航海王子の要求で開発されたとされ、アラブのカラボスと呼ばれる大型輸送船やポルトガル北部のカラベラと呼ばれる小型漁船(どちらも大きな三角帆を備えていた)の長所を取り入れ、探検航海に適するように改良したものだ。
 その特徴は、カラック船と比べ小ぶりでずんぐりした形状の、頑丈で喫水の浅い船体と大三角帆の帆装にあった。浅い喫水は浅瀬の多い水路や入江での行動を可能にし、逆風にも強い三角帆は操船面に高い機動性をもたらしたといわれる。しかし当時のポルトガルが造船技術や航海技術について秘密主義をとったため、現在も、カラベル船の詳細については謎が多い。
 コロンブスが乗ったサンタマリア号は、カラベル船の大三角帆をコロンブス自身の発案で長距離航海に適した大型の横帆に張り替えたものだった。未知の航路を求め果敢に推進された当時の探検航海では、その手段としての船の技術開発も極めて重要な課題だったのである。
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