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海運雑学ゼミナール

195 大航海時代に多大な影響を与えたプトレマイオスの計算違い

 球表面を緯度と経度で区分けすることや、球形の地球を平面に表現する球面投影法を考案し、近代地理学の始祖とされているのが、2世紀のギリシャの地理学者プトレマイオス。
 彼の著した「地理学」は、西欧では、その後1000年以上の間、歴史の闇に埋もれていたが、ルネッサンス期に至って再発見され、俄然脚光を浴びるようになった。
 その真の価値に気付いたのは進取の気性に富んだ航海者たちだった。コロンブスが大西洋横断によるアジア到達を計画したのも、プトレマイオスの世界地図が拠りどころだった。
 ところがプトレマイオスは重大な過ちを犯していた。彼は地球の円周を約2万9,000キロメートルと計算、加えてアジア東端を約50度も東に置いた。このため彼の地図上では、ヨーロッパとアジアの間の海が極端に狭いのである。
 コロンブスの時代には、プトレマイオスの世界地図の権威は絶大だった。しかもコロンブスは自らの計算によって、アジアまでの距離をさらに10%も少なく見積もっていたという。
 もしプトレマイオスの計算が正確だったら、果たしてコロンブスはあの冒険航海を企てただろうか。マゼランの悲劇も、やはり太平洋の広さの認識不足が大きな原因だった。
 はるか1800年以上も昔に、厳密な科学的手法で地理学の基礎を築いたプトレマイオスの偉大さを否定する人はいない。しかし彼の計算違いが、約1300年の時を隔てて数々の大航海を生み出した点の方が、歴史的視点からみれば、むしろ重要な業績(?)といえるかもしれない。
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