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海運雑学ゼミナール

197 フェリー:「フェリー」の本来の意味は渡し舟?

「フェリー」の本来の意味は、海や川などで隔てられた陸路を中継する「橋」の役割を果たす船全般のこと。船頭が一丁櫓で漕いだ江戸時代の渡し舟や鉄道連絡船なども、その意味ではフェリーの仲間に入る。しかし、現在の日本でフェリーといえば、旅客と車両を同時に運ぶカーフェリーを指すのが一般的だ。
 カーフェリーの本場は北欧を中心とするヨーロッパ。複雑な海岸線をもつバルト海での狭水路を利用した陸路のショートカットや英仏海峡の横断航路など、まさに橋の役割を果たす重要な交通機関として発達したものだ。
 しかし日本では、そうした本来の意味から離れ、長距離大量輸送機関としての特徴を強くもつフェリーが発達してきた。陸上幹線道路のバイパス的な役割を果たす「海のハイウェイ」としての長距離フェリーだ。
 わが国では、300キロメートル以上の航路を航行するフェリーを長距離フェリーと呼び、そのほとんどが陸上の幹線道路に並行している。2003年4月現在、こうした長距離フェリー航路は20航路。その総延長は陸上輸送の主力ルートである高速自動車国道を遥かにしのぐ。(詳細は、日本長距離フェリー協会ホームページへ
 法律上は旅客船に分類されるものの、陸路での交通事情がなかなか改善されないわが国では貨物輸送専門のRORO船とともに国内雑貨輸送に不可欠な存在。最近は、旅客よりも貨物の輸送の比重が大きくなる傾向にあり、ドライバは乗船せずトレーラーシャーシだけを運ぶ「無人航送」と呼ばれる方式も増えてきた。
 渋滞を伝えるラジオの声を聴かない日がない日本特有の道路事情が生み出したこの海のハイウェイ。トラック輸送の一部を鉄道や海上輸送に振り向ける、いわゆるモーダルシフトの主力の一つとしても、今、脚光を浴びつつある。
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