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海運雑学ゼミナール

203 神として歓待されたキャプテン・クック

 現在のハワイ島、ケアラケクア湾に、ジェームス・クック(キャプテン・クック)の一行が乗る2隻の船、レゾリューション号とディスカバリー号が到着したのは1779年1月16日。
 上陸地には数千人の原住民が集まり、クックの到着を大歓迎した。上陸後も、一行は至るところで熱烈な歓迎を受け、その歓待ぶりに大いに感銘を受けた。
 しかし、島民たちが彼らを歓迎したのには単なる親善意識とは別の理由があった。ちょうどその時期が、ハワイの新年の祭りの時期にあたり、主神である収穫神「ノロ」は、白い旗を掲げて海からやってくると信じられていた。このため島民たちはクックの到着を、神の出現と解釈し、島をあげての大歓迎となったのだ。
 滞在を終え、出港するときも、島民たちの手厚いもてなしは変わらず、クックは、来年もこの島を訪れることを約して、島を後にした。
 このときクックが、島民の歓迎の真の意味に気付いていたら、それに続く悲劇は起こらなかったろう。しかしクック一行は、その4日後、嵐に遭遇し、マストが折れたため、再び島に引き返したのである。
 ところが祭りをすでに終え、普段の生活に戻った島に再び神が出現したのでは、混乱が起こる。住民の態度は一変して冷たく、やがて完全な抗争状態に陥り、クックは島民の手で殺害されてしまう。
 互いの文化へのわずかな理解の食い違いが、大きな軋轢に発展してしまったこの悲劇、現代にも通じる、外交の難しさを示す教訓の一つといえよう。
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