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海運雑学ゼミナール

204 結索術は帆船時代の船員の必須ノウハウ

 帆船時代、新参の水夫にとって、各種のロープハンドリングを身につけることは、一人前の船乗りになる上で欠くことのできない修行だった。帆船時代に考案されたさまざまなロープの結び方(結索術)は、いずれも使用目的にあわせ、迅速・確実に結べ、しかも簡単にほどけることが基本。まさにロープの結び方一つで生死が分かれた帆船時代の知恵の結晶とも言うべきものだ。
 このため英語には、ロープにまつわる表現が数多くある。例えば「経験を積んでいる」というような意味で使われる「to know the ropes」という言い回しなどはその代表例。複数形「ropes」には「物事の秘訣」というような意味もあり、「to have a rope」といえば「船乗りとして生計を立てる」という意味になる。
 現代の船で使われるロープの代表的なものとしては、係留索として使われる直径40ミリ以上のものがあり、こうしたロープは、普通「ホーサー」と呼ばれる。また直径10ミリ以下のロープは、「スモールスタッフ」と呼ばれ、積荷の固縛や投索などに用いられる。通常「ロープ」と呼ばれるのは、この中間の太さのものを指しており、一般的な用途には、ほとんどこの太さのものが用いられる。
 なかでもホーサーは、舶用品の中では高価な部類に入り、治安の悪い国の港では、沖合いでの停泊中に、これをねらって錨鎖を伝い船内に侵入するコソ泥も多いという。
 このため投錨中は、ホーサーをワイヤーで固定したり、投光器を設置したり、頻繁に見回りしたりと、乗組員は神経を使うことになる。
 夜陰に乗じて忍び込むコソ泥を手際よく捕まえるコツも、現代の船員にとっては「to know the ropes」の重要な要件の一つといえそうだ。
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