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海運雑学ゼミナール

208 無人化が進んだ現代の大型沿岸灯台

 灯台といえば、まず大型沿岸灯台と呼ばれる岬の突端に立つ白亜の灯台が思い浮ぶ。しかし現代の灯台には、技術の進歩やニーズの多様化によってさまざまなバリエーションがある。
 新しいタイプの灯台には、ロランやデッカ、オメガなど電波を出すものがある。音だけの音波標識や船舶通行信号所も灯台の一種だ。光を出すものにも、大型沿岸灯台以外に、灯柱、灯標、灯浮標などがある。日本には、こうした広義の灯台(航路標識)が5,300余りある(2000年現在)。
 業務面でも様変りした。かつて灯台といえば、映画「喜びも悲しみも幾歳月」に描かれた僻地の灯台に暮す灯台職員のイメージと強く結び付いた。しかし、現在では、無人化が進み、ごく一部の灯台で、数日間交代で職員が滞在するケースが残されているだけで、かつてのような住み込み勤務は全くない。
 無人でも高信頼度で稼動する自動化技術の進展や、管理する灯台数の激増で人員の面から定期的な巡回管理に切替えざるをえなかったこともその理由だが、それ以上に、住み込み管理の過酷な勤務条件に対する人道的な観点からの改善努力も大きな力になったといえよう。
 定期的な巡回は、道路事情がよければ車で、そうでなければ船で行われ、緊急時には速やかに補修に出動できる体制も整えられている。
 わが国には、明治時代に立てられた貴重な文化遺産ともいえる灯台が、数多く現役で活躍している。しかし古典的で優美な姿とは裏腹に、今では、すべての機能が最新の自動化技術によって保たれているわけで、誕生以来、長い年月を灯台職員と苦楽を共にしてきた灯台にとっては、これはちょっと寂しい変化かもしれない。
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