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海運雑学ゼミナール

216 日本人が発明したフィンスタビライザー

 両舷の船底近くに小さな翼を張り出し、航走中そこに働く揚力によって船体の横揺れを軽減する装置がフィンスタビライザー。揺れに応じて翼の角度を変え、揚力を変化させることにより、大きな横揺れ減衰力を生み出す。
 その効果はきわめて大きく、最近では客船やカーフェリーをはじめとする多くの船で使われるようになった。
 ところで、このフィンスタビライザーは戦前に日本で発明されたもの。三菱造船(現三菱重工業)の元良(もとら)信太郎博士による造船技術上の傑作だ。
 1923年に対馬商船の暁丸に世界で最初に装備され、同年11月に壱岐〜対馬間を荒天航海したときの横揺れは、作動停止時には平均12度、最大20度に及んだが、これを作動させると平均3度、最大15度まで軽減できたという。
 しかしコンピュータもなく制御機器も発達していなかった時代のこと、画期的発明もついに期待した効果を発揮するには至らず、特許は、やがてイギリスの企業に売却される。
 卓越したアイデアは、まさにその先進性ゆえに周辺技術が追いつけず、当時の日本では花開くことができなかったのである。
 しかし、現代の客船やカーフェリーによる揺れの少ない快適な船旅が、1920年代の日本人のこうしたユニークな着想から生まれたことを想えば何とも感慨が深い。
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