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海運雑学ゼミナール

218 カーペンター(船匠)は航海中の船内修理の専門家

 木造帆船の全盛期、船には必ずカーペンター(船匠)と呼ばれる船員が乗り込んでいた。船を建造するいわゆる船大工とは異なり、完成した船に乗船し、航海中の船体や船内設備の点検・補修に従事する専門職で、座礁などで傷ついた船体を修理したり、水漏れの箇所をふさいだりと、木造船の航海にはまさに不可欠な役割を果たしていた。
 鋼船時代になっても、しばらくの間は、普通船員の中に「甲板長」「操舵手」などとならんで「船匠」という職名がみられ、甲板部の中で重要な位置を占める職種だったことがわかる。
 船内就労体制の近代化に伴って職名としての船匠は消えたが、長期にわたり航海する船では船内設備や居住施設の簡単な補修は乗組員の手で行わなければならない。そこでベテランの甲板部員がこうした仕事を兼務することになる。
 とくに客船では、キャビンやパブリックスペースの床・壁など木工関係の補修から、バスルームやトイレの修理など日常業務の中で不可欠な補修作業は多く、甲板長などが、かつての船匠の役割を兼ねているケースが多い。
 こうした現代の船匠はなかなか器用で気さく。鍵を無くしたスーツケースを開けたり、折れたハイヒールの踵の修理など乗客からのちょっとした依頼にも気軽に応じ、客船サービスの重要な一翼を担っている。
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