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海運雑学ゼミナール

227 船の世界で生まれた国旗による儀礼表現

 船同士の旗による通信といえば国際信号旗があげられるが、国旗や社旗も自船のアイデンティティや意思を表現する重要な手段だ。
 まず国旗は、国内外を問わず、入出港時や沿岸航行中に船尾に掲げられる。これは、もちろん自船の国籍を表すためだ。
 さらに外国の港に入港する場合は、その国の国旗をマストに掲げ敬意を表す。このため寄港地が不特定な不定期船では相当数の外国旗を用意しておかなければならず、突然寄港地が変り、国旗の手持ちがないときは、急きょ船内でつくることさえある。
 船尾に掲げる国旗には「敬礼」の意味を表す特別の使い方もある。まず自船が国旗を半分降ろして相手に敬意を表し、相手の船が同様に国旗を半分降ろして答礼すると、今度は自船の旗を一番上まで上げる。廊下や道で人に出会ったときのおじぎによく似ている。
「半旗」も、国旗を使った儀礼表現の代表例だ。これは弔意を表すもので、国旗や社旗をマストの途中に掲揚する。かつては黒い帆を掲げたが、そのためだけに黒い帆布を積んでおくのは効率が悪い。そこで代わりに黒い旗を使うようになるが、今度は遠目だと旗の色の見分けがつきにくい。そこで旗を半分の高さに掲げることで弔意を表すことにしたのがその由来だ。
 このほか、外国船の乗組員が訪問したときには、自国旗と相手国の国旗を交差させて飾り歓迎の意を表す。
 半旗は、現在では船の世界以外でも使われており、両国の旗を交差させる方法も外国からの賓客のレセプションなどでお馴染みだ。いずれも長い歴史をもつ船の文化が陸上生活にまで影響を及ぼした数多い事例の一つといえよう。
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