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海運雑学ゼミナール

228 新世代のクリーンエネルギー開発の決め手は液体水素タンカー

 化石エネルギーによる地球温暖化の危機が指摘される一方、かつて夢のエネルギーとみられた原子力も、チェルノブイリの原発事故などを契機に見直しの気運が高まっている。
 そこで期待度が高まってきたのが太陽光発電。最近は効率的な太陽電池の開発が進み、赤道付近など年間を通じて日射量の多い地域で大規模発電を行えば、石油や原子力の代替エネルギーとして採算が合う可能性も高まっている。
 しかし発電した電力を消費地までどう運ぶかが大問題。現在、最も有力とみられているのが、発電した電力で海水を電気分解し、発生した水素を液化してタンカー輸送する方法だ。
 水素の質量あたりのエネルギーはガソリンに勝り天然ガスに匹敵する。しかも燃焼後に残るのは水だけのまさに究極のクリーンエネルギー。
 ところが液体水素の温度はLNG(液化天然ガス)よりも90℃低いマイナス253℃。従来のLNG船のタンク素材ではこの超低温は過酷だ。また比重がLNGの6分の1と軽いため、漏れたガスが拡散しやすく、引火爆発の危険性が高いといった問題もあり、安全対策もLNG船以上に重要になるなど、技術的に克服すべき課題は多い。
 液体水素化輸送するシステムは、太陽光だけでなく、水力や風力、潮力など他の自然エネルギーにより生産した場合にも応用できる。まさにそのきめ手となるのが液体水素タンカー。将来その技術が確立すれば地球環境への負荷がほとんどない自然エネルギーの利用は急速に進むはずだ。
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