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海運雑学ゼミナール

233 停泊中も油断できない潮汐による海面の上下動

 潮汐によって生じる満潮時と干潮時の海面の高さの差を「潮位差」または「潮差」といい、最大潮位差は、大潮の時、つまり地球を挟んで月と太陽が反対側に位置する満月と、地球から見て月と太陽が重なる新月の時に起こる。
 この最大潮位差は、大洋の中心部では数十センチに過ぎないが、沿岸部では地形や潮流の影響で大きく異なり、例えば英国のブリストルや韓国の仁川、アラスカのアンカレッジなどでは十数メートルに達する一方、日本海沿岸の新潟や小樽など20〜30センチ程度の場所もある。
 水深の浅い水域や港内の水路での操船では、こうした潮汐による海面高の変化に十分注意する必要がある。船を安全に運航するには、常に一定以上の余裕水深(船底から海底面までの深さ)を確保する必要があり、これは船の喫水と潮汐との関係で絶えず変化するからだ。
 岸壁に係留中も、潮汐によって船体が上下し、船をつなぐロープがたるんだり張りすぎたりする。これも放置すれば事故につながるので絶えず調整しなければならない。
 また鉱石や石炭専用船などでは、岸壁側の荷役装置と船のハッチや上甲板が接触しないよう、潮汐に合わせ喫水を調整する場合もある。自動車専用船の場合も、自動車の積みおろし用のカーラダーの高さを海面の昇降に会わせて調整する必要があるため潮汐には十分な注意が払われる。
 海という生きた自然の中では、岸壁に停泊していても船は安心して休んではいられないのである。
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