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海運雑学ゼミナール

235 数十枚の海図がCD1枚に、応用の可能性広がる「電子海図」

 コンピュータや人工衛星の登場で、航法技術が急速な進歩を遂げた現代の船舶でも、欠かすことのできないのが海図だ。水深や海底の地質、海底危険物の位置、潮流、航路、航路標識などの情報が詳細に書き込まれた海図は、船舶の安全航行のための情報の宝庫といえる。
 外洋を航海する貨物船や客船のブリッジには、数百枚の海図が備えられ、さらに本社のチャートルームには数千枚にのぼる海図が保管されている。こうした膨大な量の海図情報により、簡単にアクセスするために、近年の電子技術の進歩を背景に登場したのが電子海図だ。
 一定範囲の水域を網羅する数十枚の海図をデジタル化し、1枚のCD(コンパクトディスク)に納めたもので、デジタル情報の特性を生かし、衛星からの位置情報やレーダー情報などと組み合わせて利用することができる。現在位置、コース、スピード等をディスプレイにリアルタイムに表示するなど、さまざまな情報の編集・加工が可能な点がその最大の特長だ。
 さらに船橋の明るさに合わせた画面表示や自動スクロール、必要海図の自動ロード、拡大・縮小などもでき、従来の紙海図と比べより利便性の高いものとなっている。
 概念としては、最近普及しているカーナビゲーション・システムに共通するが、その可能性は、高度自動運航システムへの応用など、今後の利用技術の開発によってさらに広がると見られ、21世紀における安全航行の基盤技術としての期待は大きい。
 日本では、海上保安庁水路部が、1998年より電子海図の刊行を行っている。
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