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海運雑学ゼミナール

237 かけがえのない地球との共存を目指す海運の公害対策

 海を活動の舞台とする海運にとって、地球環境問題への対応は重要な社会的責務だ。1992年には、原油の流出事故を防止するため、IMO(国際海事機関)によってタンカーの二重船殻化が義務づけられたが、他にも、地球環境保全の観点から取り組むべき課題は多い。
 エンジンの排気ガス対策もその一つ。貨物船は、他の輸送機関と比べ、二酸化炭素(CO2)や硫黄酸化物(SOx)、窒素酸化物(NOx)の単位輸送量当たりの排出量は圧倒的に少ない。しかし重油を燃料とする以上、その排出は避けられないため、CO2については、燃料消費量の漸減、SOxについては、硫黄分濃度の少ない重油を使うことで、その排出量を減らすなどの取り組みを行っている。
 将来的には、重油以外の燃料を使う低公害化エンジンも研究されている。候補は天然ガス、メタノールなどだ。天然ガスは、タービン機関を使う一部のLNG船で使用されているが、大型の舶用ディーゼル機関は、重油以外の燃料が実用化されたことはなかった。しかし最近日本で、天然ガスやメタノールを燃料とするディーゼル機関が試作され注目されている。
 船底防汚塗料も、無公害化が研究されている分野だ。わが国では有機スズの魚類への蓄積が懸念されるTBT(有機スズ化合物)塗料の使用をすでに禁止しているが、わが国などの働きかけによって、有機スズ系の塗料を世界的に禁止する条約が2001年10月にIMOによって採択された。
 かけがえのない地球との共存を目指す海運界のこうした努力は、安全な大量輸送機関としての海運への信頼をより大きなものにするはずだ。
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