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海運雑学ゼミナール

240 実現に一歩近づいた21世紀の超自動化船

 船が、まるで知能を持った生き物のように、人間の手を借りずに、外洋の航海から入出港、離着岸、エンジンプラントのメンテナンスまで自動的にこなす。そんな夢のような構想が現実のものに近づきつつある。
 高度自動運航システム、高信頼度プラント、故障予知診断システムなどの先進技術により、経済的で安全性にも優れた超自動化船の実現を目指す「高信頼度知能化船」の構想は、1982年の運輸技術審議会の答申からスタート。以来、着実に各要素技術の開発が進められてきた。
 高信頼度プラントの開発では、対摩耗性、耐熱性に優れたセラミックスをシリンダーやピストンリングの材料に使い、6ヵ月間メンテナンスフリーで、しかも高出力、低燃費、軽量化と、画期的な性能を実現した中速ディーゼル機関の技術がほぼ完成。さらに大型低速ディーゼル機関への応用が期待されている。
 人工衛星やロラン、デッカなどを利用した高精度位置情報測定システムに高性能レーダー、ソナー、電子海図などを組み合わせたコンピュータ集中制御の高度自動運航システムや衝突・座礁予防システムも、実用の域に達しつつあり、将来的には、陸上からのサポートと一体化した出入港自動化システムの実現も可能だ。
 こうしたハイテクシップの出現で、海運の世界は、今後さらに乗組員の少数精鋭化が進むはずだ。しかし頭脳明晰なよき相棒と付き合うには、それを管理する乗組員にも、エレクトロニクスやコンピュータなどについての広範な知識や応用能力がこれまで以上に不可欠になる。船がどんなに賢くなっても、それを操るのはやはり人間なのである。
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