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海運雑学ゼミナール

242 安全航行を脅かす海底の巨大な砂丘群

 船舶にとって航行上の障害物は、水上に顔を出しているものだけではない。むしろ水中にあるもののほうがはるかに危険だ。干潮時のみ顔を出し満潮時は水面下に沈む干出岩を始め、沈船、漁礁など、水面下の障害物は数多い。
 こうした障害物のうち、位置が確認されているものは、随時海図に記載されるほか、浮灯標(ブイ)などで航路上にも位置が示され、これらに反映されない最新情報も、日本では、海上保安庁が管轄する船舶通航信号所がラジオ放送などを通じて航行中の船舶に通報している。
 こうした海底の障害物の中でも厄介な存在がサンドウェーブ。潮流によって流された海底の砂が一定の場所に波打つように堆積した、いわば海底の砂丘地帯だ。特に顕著なのがマラッカ・シンガポール海峡で、大規模なものは波高が十数メートル、波長は数十メートルから数百メートルにおよび、しかもその規模や分布が数年のうちに大きく変化することがある。
 水深が浅いうえに、喫水の深いVLCCなどの大型船が頻繁に通るこの水域で、この流動する障害物がいかに危険かはいうまでもない。
 日本の原油輸入のメインルートであることから、わが国も、マレーシア、インドネシア、シンガポールの沿岸3ヵ国と共同で、1969年以降、数次にわたる水域全般の精密測量を実施し、現在では、ほぼその全貌が解明されているが、3年間に波高が約2メートルも変化した場所もあり、今後も、定期的な観測が不可欠だ。
 国内でも、瀬戸内海を始めとするいくつかの水域でサンドウェーブ地形が確認されており、やはり定期的な測量が行われている。
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