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海運雑学ゼミナール

245 ミッドデッキタンカーは原油流出を防ぐ日本のアイデア

 1967年の「トリーキャニオン号」、1989年の「エクソンバルディス号」などの原油の大規模流出事故をきっかけにタンカーの安全基準の強化が求められ、特に船体の二重船殻化が国際的に大きな課題となった。
 二重船殻(ダブルハル)とは、船底と船側の構造を二重にして座礁や衝突などで万一船体が破れても、原油が流出しにくいようにしたものだ。
 これに対し、日本の造船界からも、タンカーの安全性を高めるユニークなアイデアが出てきた。ミッドデッキタンカーである。
 その特徴は、原油タンクを上下の2層に分け、船側だけを二重構造にしていること。上下のタンクを分ける中間デッキが喫水線より下にある点が重要で、これにより下のタンクの原油の圧力は常に周囲の水圧よりも低く保たれる。
 もし座礁などで船底に穴が開いても、下のタンクの原油は進入する海水の圧力で上に押し上げられ、タンク内に閉じ込められるわけだ。
 二重底がない分、同じタンク容積ならダブルハル構造より船側の二重構造の幅を大きくとれ、横からの衝突にもさらに安全性が高まる。
 またダブルハル構造でも、二重底自体が破れた場合には原油は流出してしまうが、ミッドデッキの場合は、もともと破れても漏れない仕組みのため、安全性はより高い。
 このシンプルだが優れたアイデアは、ダブルハル方式と同等以上の安全性をもつものと認められ、1992年にIMO(国際海事機関)で採択された海洋汚染防止条約の改正案では、1993年7月以降に建造契約が締結されるタンカーについては、タブルハルまたはミッドデッキの何れかの方式が採用できるようになった。
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