日本船主協会

トップページ海運雑学ゼミナール

海運雑学ゼミナール

248 国や地域によって逆転するブイ(浮標)の灯光色の意味

 ブイ(浮標)は、航路や安全水域を示したり、暗礁などの危険物の存在を知らせる船舶の安全航行に欠かせない航行援助施設だ。
 それぞれのブイが示す情報は、本体の色(赤・緑・黒・黄)とトップマークと呼ばれる形象物の色と形、灯光の色(赤・緑・白)および点滅のパターンによって識別できる。そのルールを体系化したものが「浮標式」で、現在では国際的にほぼ統一されたものが用いられているが、ただ一点、不統一な部分がある。それは赤の灯光の示す意味だ。
 ブイの設置場所のほとんどは設置国の領海内のため、その表示方式は国や地域ごとにまちまちだった。しかし海運の活動は本来国際的なものであるうえ、第二次大戦後の外航海運の興隆に伴ってさまざまな不都合が生じてきた。
 そこでIALA(国際航路標識協会)が中心となって統一作業が進められるが、どの国も自国で長年使い慣れた方式にこだわるため、その作業は極めて困難だった。とくに合意が難しかったのが色の表す意味。ヨーロッパ諸国では左舷を示す場合、灯光が赤、塗色は黒だったが、米国、カナダ、日本などは灯光と塗色のいずれも右舷が赤だった。
 しかしその後、浮標の意味の誤認による海難事故が相次ぎ、統一が急務となった結果、ある妥協案が浮上する。それは世界を「左舷が赤(A地域)」と「右舷が赤(B地域)」の2つのゾーンに分け、それ以外の点については、すべて統一するというものだった。
 そして1980年、東京でのIALA総会で、この案に基づく「IALA海上浮標式」が採択され、2年後に正式発効。わが国は南北アメリカ諸国、韓国などとともにB地域に属することになった。世界の海で活動する外航船舶にとって、この統一の意義がきわめて大きかったことはいうまでもない。しかし灯光色に関する部分についてはやはり「画竜点晴を欠く」の感がある。
前のページへ海運雑学ゼミナールタイトル一覧へ次のページへ