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海運雑学ゼミナール

250 国際水路機関公認で自由に複製できる世界の海図

 書籍や音楽ソフト、コンピュータソフト、ブランド商品など、他人の著作権や意匠権を侵害する違法コピーは国際的にも厳しく取り締まられているが、さまざまな著作物の中で、恐らく唯一コピーが自由なのが海図だろう。
 海図は、国際水路機関(IHO)の加盟国を中心に世界の約60ヵ国の水路部によって発行されているが、そのすべてが、自前の測量結果に基づくオリジナルというわけではない。
 自国周辺の海域はともかく、世界中の海図をすべて自前で作成するとなると、あまりにも労力や時間がかかる。そこですでに他の国が海図の作成を行っている水域については、その資料をもとに海図を編集したり、あるいは海図そのものをコピーすることが一般に行われるが、これは違法ではなく、むしろ国際水路機関によって承認され推奨されていることなのだ。
 国際水路機関の決議によれば、原版どおりではなく、また出典を明示すれば、他国の海図を複製してもよい。さらに2国間で海図のファクシミリ協定を結べば相互に写真製版による複写を行ってもよいとされ、国際水路機関はこうした協定の締結を促進する勧告も行っている。
 日本の水路部が発行する海図にしても、国外についてはアメリカとのファクシミリ協定によって作成されたものも多い。
 これはいうまでもなく海図が国際的にも極めて公共性の高い著作物であり、より正確な海図を、よりスピーディーに提供することが、世界の海上交通の安全にとって大きな意義をもつという認識によるもの。
 海の道を通じて世界の国々の経済が緊密に結ばれた現代にあっては、海図はまさにオープンにしてこそ価値のある情報といえよう。
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