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海運雑学ゼミナール

256 時代のニーズを反映し海上保険の種類は多彩

 海運と保険は切っても切れない関係にある。そもそも保険というシステム自体が海運の歴史の中で生まれ育った、いわば海運の申し子。このため、ひとくちに海上保険といっても、そこには実に多様な契約形態が存在する。
 まず船舶を保有、運航する船社が、船舶自体にかける保険が船舶保険。通常は、推定全損を含む全損、救助費、共同海損、沈没、座礁、火災などによって生じた修繕費が填補される。
 さらに海難事故等によって船舶が稼動できなかった期間の経済的損失を填補する船舶不稼働損失保険や、通常の契約では保険者が免責となる戦争や暴動、海賊行為などによる損失を填補する船舶戦争保険もある。
 その他、予定される運賃収入を保険対象とする運賃保険や、輸送用容器であるコンテナを対象とするコンテナ保険、海上輸送中の積荷の損害をカバーする貨物保険も海上保険の一分野だ。
 また非営利組織のP&Iクラブ(Protection and Indemnity Club)が運営するP&I保険も、海運にとって重要な保険だ。
 これは加入船社の様々な賠償責任を填補する保険で、第三者賠償責任や船員の人命に関わる補償責任、防疫上発生した費用など広範な範囲をカバーするほか、油濁汚染等への賠償にも対応している。
 リスクのないビジネスはないが、船舶という高価な資産を使い、大量の貨物を運ぶ海運業にとって万一の際のリスクは特に大きい。時代の要請によって多様化し、様々なリスクに柔軟に対応する現代の海上保険は、海運という巨大な輸送システムを円滑に動かす潤滑油ともいうべき重要な存在といえる。
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