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海運雑学ゼミナール

258 風、波、太陽光を利用する未来の超省エネシップ

 かつて船は、風という自然エネルギーを最大限活用する省エネルギー性の高い輸送機関だった。エネルギー問題や環境問題が地球規模で注目される今、自然エネルギーの利用は再び船舶技術分野の興味ある課題になりつつある。
 船が最も利用しやすい自然エネルギーはもちろん風力。コンピュータ制御の帆を補助推進力にした帆装貨物船はすでに実用化している。
 太陽エネルギーも、自動車などでは試験的に利用されているが、双胴船のような甲板面積の広い船なら発電能力も大きい。高性能の太陽電池開発が鍵だが、平水を走る遊覧船や交通船なら、十分実用化は可能だろう。
 船の推進力に利用できそうな、もう一つの自然エネルギーが波だ。普通、船舶にとって波はただの邪魔物だが、そのエネルギーを何とか吸収して、船の推進に利用しようという試みが、すでに1890年代の英国で行われている。
 船の前後に取り付けられた翼で水流を受け、前進方向への揚力を得る仕組みで、翼は適度な弾力性を持ち、波による船首尾の上下運動にともなって常に最適な揚力が発生する角度に変形する。実験では、長さ約4メートルの船が毎時3〜4マイル(1マイルは約1,609キロメートル)で進んだという記録が残っている。
 1980年代には東海大学と日立造船が、同様の実験を行っているが、この時は、排水量20トンの船に幅3.8メートルのフィンを取り付け、風上に2ノットの速力で進むことに成功。フィンを取り付けない場合に比べ、波による船体動揺が大きく減少する効果も確認された。
 風力、波力、太陽光のいずれも、たぶん単独では、現代の大型船の動力として力不足だが、それらをすべて組み合わせ、最新のコンピュータ技術で最適に制御すれば、自然エネルギー利用の超省エネ船も夢ではないかもしれない。
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