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海運雑学ゼミナール

266 舵がなくても方向は自由自在タグボートの魔法のプロペラ

 船にとって舵は、なくてはならない重要な装置だ。舵がなければ、方向を変えられないだけではなく、そもそも方向が定まらない。もし航海中に舵が故障したりすれば、あとはエンジンを止めてただ漂流するしかない。
 ところがこれほど重要な舵を持たない船もある。タグボートだ。タグボートが舵なしで自由に移動できる秘密は特殊なプロペラにある。
 最近のタグボートで最も多く使われているのがZプロペラ。ダクトと一体化したプロペラを360度自由な方向に旋回できるようにしたもので、通常、2基を1組にして装備し、それぞれの向きを自由に組み合わせてコントロールすることで、前進・後進・横や斜めへ方向の移動・回転など、実に複雑な動きが可能だ。
 最近はZプロペラに主力の座を奪われたが、フォイトシュナイダープロペラも同様の機能を持つ。しかしその形はやや変わっている。
 櫓の形の翼を円形に配列した翼車を、船体から下方向に取りつけたもので、それぞれの翼面に対し直角となる線の交点が翼車の中心からずれた位置にくるように、回転しながら翼面角度を調整する巧妙なメカニズムを持つ。
 この交点の中心からのずれの位置を変えることで自由な方向に推力を向けることができる。こちらの場合も、2基1組で微妙な方向コントロールができる点は、Zプロペラと同様だ。
 こうした特殊なプロペラによるミズスマシのような機動性が、強力なエンジン出力とともに、巨大船を自在に動かすタグボートの高度な機能を支えている。
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