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海運雑学ゼミナール

276 本初子午線がパリを通過するフランスだけのローカルルール

 本初子午線(経度ゼロの子午線)は、英国のグリニッジを通る線で世界中が統一されているはず。ところがフランス国内で発行される地図の本初子午線は、何とパリを通っている。
 そもそも本初子午線の位置は国により時代によりまちまちで、メルカトルは、大西洋のアゾレス諸島を通過する経線を本初子午線とし、英国も最初はこれにならったが、17世紀末にはロンドンに置くようになった。フランスも17世紀までカナリア諸島にあった本初子午線をパリに移した。日本でも伊能忠敬の地図では京都に置かれ、明治時代に東京に移された。
 その後、クロノメーター(航海用時計)が発明され、正確な経度測定技術が確立されると、経度の基準となる本初子午線が国によってバラバラでは非常に具合が悪いことになった。そこで世界共通の子午線を定めるために1884年に万国子午線会議が開催され、当時最強の海運国だった英国のリーダーシップのもとに、グリニッジを本初子午線とすることが決定された。
 しかし英国と歴史的にライバル関係にあるフランスにとってこれはあまり面白くない。そこで、国際標準としてはグリニッジ案を認めるものの、国内ではあくまでパリを通る経線を本初子午線としたわけである。
 経度ゼロの栄誉?をライバル英国に奪われた悔しさは分かるが、国内用と国外用で経度が2種類ある不便に今も耐えているフランス人の頑固さには、脱帽せざるを得ない。
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