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海運雑学ゼミナール

277 世界を驚かせた自動化船「金華山丸」の処女航海

 船橋から主機を直接操縦するブリッジコントロール方式と、機関部の監視や制御を機関室下段のコントロールルームで集中的に行う集中監視制御方式を採用した世界最初の自動化船「金華山丸」が竣工したのは1961年。日本が世界に先駆けたこの技術的快挙は、その後の世界の海運・造船界に大きな影響を与えた。
 当時の海外での反響の大きさを物語るこんなエピソードがある。金華山丸が処女航海でパナマ運河を通過した時、船橋から直接主機を操縦するのを見て驚いた水先案内人がニューヨークに電信を入れた。
 この情報はまたたく間に米国連邦政府の上層部に達し、ニューヨークに到着した金華山丸を、時の国防長官が急きょ見学に訪れたのである。現地の新聞は、これをみて世界初の自動化船入港と書きたてた。
 そのニュースがさらに世界に配信されて、逆に驚いたのは日本のマスコミだったという。日本国内ではほとんど注目されなかった9,800重量トンの外航ディーゼル貨物船に秘められた画期的な技術は、当時の日本からみれば圧倒的な技術先進国のアメリカで、真っ先にスポットライトを浴びたわけである。
 それまで自動化船にさほど積極的ではなかった欧米各国でも、金華山丸に刺激されて自動化船の建造意欲が盛り上がり、1964年には、世界初の夜間機関室無当直を実現したデンマーク船主向けタンカー「セルマ・ダン」がわが国で竣工。さらに1969年には日本初の夜間機関室無人化船(Mゼロ船)「ジャパン・マグノリア」も竣工し、夜間機関室無人化は世界の趨勢となる。
 金華山丸は、低船価・短納期を武器に戦後わずか10年で世界のトップの座に躍り出た日本の造船業が、技術力でも遂に世界の頂点に立ったことを示した金字塔の一つといえよう。
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