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海運雑学ゼミナール

284 ジブラルタル海峡:猿たちが守る英領ジブラルタル

 英領ジブラルタルは、ジブラルタル海峡に面したイベリア半島南端の小都市。半島状の土地の大半が農業や牧畜に不向きな石灰岩の岩山だ。
 ところがこの不毛の地をめぐり、過去、多くの国々が争奪戦を繰り返してきた。理由はいうまでもなくその戦略的重要性にある。
 15世紀後半までイスラムの支配下にあったジブラルタルをスペインが奪回したのは1462年。以後、18世紀初頭までスペインが支配していたこの土地を1704年にはイギリスとオランダの同盟軍が奪取。のちにイギリスの植民地となった。
 遠くギリシャ時代に「ヘラクレスの柱」として畏れられたジブラルタル海峡は、イギリスなど北大西洋に面する国々にとっては地中海への唯一の出入り口。とくにスエズ運河完成以降は、地中海経由で極東に至る海上交通の要衝として重要性が飛躍的に高まった。
 とはいえ、スペインにとって自国領土に食い込む植民地はいわば喉に刺さったトゲ。現在もその返還は外交上の重要課題になっているが、決着は当分つきそうにない。
 ところでジブラルタルの岩山にはイギリス人でもスペイン人でもない、はるか昔からの「先住民」がいる。バーバリー猿という北アフリカ原産の猿である。いつ、どうして定住したかは不明だが、ヨーロッパ中でこの猿が生息するのは唯一ここだけ。いつしか「猿がいる限りイギリスの統治は続く」という伝説が生まれた。
 第二次大戦中に当時の首相チャーチルが「ジブラルタルの猿を増やせ」と命令したという有名な話も残っており、今もイギリスは縁起を担いで、この猿が減らないように北アフリカから補充し続けているという。
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