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海運雑学ゼミナール

293 推進効率から操船性まで船の性能を左右する舵の機能

 船が針路を保持したり方向を変えることができるのは、複雑な水流を整え、舵角によって揚力を生み出す舵の機能によるものだ。
 舵がなければ、船は自由に針路を変えられないばかりか、直進することもできない。しかもプロペラの旋回流をまともに受けるため、その性能はプロペラの効率にも影響をおよぼす。
 舵の効果は、舵自体の形状はもちろん、船型、喫水、速力などの要素によって複雑に変化する。こうした分野の研究が進んだのは20世紀前半に入ってからで、その後、技術革新は急速に進み、さまざまな高機能舵が登場した。
 エルツラダーやスターコントララダーは、舵に当たる水流を滑らかにして抵抗を減らすことを狙ったもの。さらにプロペラの旋回流を積極的に推力に変えることを目指したのが反動舵やバルバスラダーだ。いずれもプロペラがつくる複雑な水流との相関関係の中で、より効率的な推進効果を生み出すために考案された舵だ。
 一方、舵効きをより向上させる目的で開発されたのがベッカーラダーやシリングラダーだ。
 ベッカーラダーは飛行機の垂直尾翼のように舵板の後縁部分にフラップがついた舵で、強力な旋回力と応答の速さが特色。シリングラダーは、舵板の上下に整流板を取り付けた高揚力舵で、通常の舵の2倍の70度の舵角がとれる。
 こうした舵とサイドスラスターを組み合わせれば、小型の船なら、真横移動、旋回など非常に自由度の高い操船も可能になる。
 かつて船側や船尾に括りつけられた大きな櫂に過ぎなかった舵は、こうして、今や、高度な流体理論やシミュレーション技術の成果を生かし、推進効率から操船性まで、船全体の性能を左右する重要な先端装備の一つとなっている。
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