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海運雑学ゼミナール

298 紀元前に始まっていた運河による水上輸送

 近代を代表する運河といえばスエズ運河とパナマ運河が挙げられる。
しかし運河の歴史は輸送機関としての船の歴史に匹敵するほど古い。
 紀元前6世紀にエジプトを支配したダリウス大王の碑文には、彼の命によりカイロからスエズに至る運河の掘削が行われ、これによってペルシャ湾やインド方面との交易が活発化したと記されている。またアッシリアでも紀元前4世紀頃にチグリス、ユーフラテスの両大河流域で運河の建設が盛んに行われていた。
 古代の運河で最も大規模なものは、中国の抗州から北京近郊に至る全長千数百キロの大運河だ。大部分は隋の時代に完成したが、一部は紀元前6世紀にすでに開削されており、現在も世界最長の運河として大部分が利用されている。
 ヨーロッパでは17世紀頃からフランス、ベネルクス三国、北ドイツの低地帯で河川と河川を結ぶ運河が盛んに建設された。フランスのミディ運河やドイツのミッテルラント運河に代表される巨大な河川運河は、現在でも沿岸部と内陸部を結ぶ重要な国内輸送路となっている。
 北米ではセントローレンス水路やエリー運河(現ニューヨーク・バージ運河)など五大湖周辺と大西洋岸を結ぶ運河が有名だ。
 日本でも江戸時代には多くの運河が建設された。角倉了以が開削に成功した京都二条と伏見を結ぶ高瀬川はこの時代の運河開削プロジェクトの代表的なものといえる。
 現代のように土木技術の発達していない時代の運河開削の苦労は並大抵ではなかったはずだが、それでも人々は情熱的に運河をつくってきた。船の大量輸送能力はあらゆる時代の人々にとってそれだけ魅力的だったわけである。
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