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海運雑学ゼミナール

311 安全航行のための船底と海底との隙間─UKC

 船が航行するためには、船底と海底の間に一定の高さの隙間がなければならない。当たり前の話ではあるが、安全航行するために、この隙間が実際にどのくらい必要かを計算するのは、実はなかなか簡単なことではない。
 船舶が航行するために必要なそうした隙間のことをUKC(アンダー・キール・クリアランス)と呼び、日本では一般に「余裕水深」と訳されている。
 UKCは、次の4つの要素によって決まる。
 1つ目は、航走中の船体の沈降量。船は航行するスピードによって船体が沈んだり浮き上がったりする性質があるが、VLCC(20万D/W以上の超大型タンカー)などでは十数ノットで1メートル前後も沈む場合がある。
 2つ目は海図の水深の測量誤差や潮汐の推定誤差。そして3つ目が、波浪やうねりによる動揺から生じる船体の沈下量だ。これらを考慮して、常に一定の基準値に基づく余裕をみておく必要がある。
 さらに4つ目として、これら3つの条件がすべて最大の値になってしまった場合でも操船可能な最低限の余裕(安全余裕)が必要だ。これら4つの要素を合算した値が、安全航行に必要な余裕水深、つまりUKCということになる。
 30万D/WクラスのVLCCの場合、満載状態では船体の高さの約80%が水中に沈んでおり、深さは20mにも達する。その船底部分と海底の隙間を何メートルにすべきか検討するわけだから、そのための計算がいかに大変なものか想像できる。まさに巨大であるがゆえに求められるデリケートさといえよう。
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